〓IRONMANへの道.〓

人生苦なくして楽なし〜長榮潔〜

忘れられた島々 吐噶喇

『忘れられた島々』
僕がこの島に初めて来たのは人生調子に乗ってる絶頂期の7.8年前の26歳くらいの時だろうか
そこは鹿児島県最南端の吐噶喇列島と呼ばれるいくつかの島から成る
この小さな日本の中で行ったことのない都道府県はあってもこんなに名前すら聞いたことのない国もないのではないだろうか
おそらく釣り好きでなければ吐噶喇列島なんて聞いたことも行ったのこともないはず
いくつかの島と言っても、飛行機はもちろん出ていないし船すら波が高くなればすぐに欠航する

人口は1つの島でも100人ほど
初めて行った時に交番があるのか調べたらなかった

 

事件が起きたらどうするのか聞いたら

 

「誰がやったかすぐわかる」
と島民のオバちゃんから答えが即答
僕が7.8年前にこの吐噶喇列島を訪れたのは当時知り合ってお世話になったある会社の会長さんが大のダイビング好きで

 

一週間ほど船の上でこの吐噶喇列島辺りを潜ったり釣りしたりして半ば自給自足の様な生活をする
それに誘われて、なんでも好奇心旺盛な僕はどんな場所かどんな生活かも知らずに参加したのだ

 

当時まだ20代半ばの僕は「贅沢」に憧れていたし魅力をなによりも感じていた

 

有名な会社の会長さんだったし、そんな人が行くんだからそれはまた「贅沢」な旅行だろうと思ってワクワクしていたのではないだろうか
なんせその頃の僕は

 

26歳でレクサスに運転手を付けて1日3食の食事を決めることも出来ず

家はタワーマンションにお手伝いさん付き

なにかをするにも1人じゃなにもできない

言わば
僕の人生の中で愚の骨頂にいた

 

 

そんな僕が乗った船は豪華クルーザーではなくいかにもな漁船
そこでは全て自分の事は自分でやらなくてはいけなかった
なにより一緒の会長さんが自分でダイビングのボンベを運んでるんだ僕がやらないわけにはいかなかった
これ当たり前の様に見えてダイビングってのはやったことある人ならわかるだろうが、たいていインストラクターがボンベ出してセットしてくれてあとは背負って飛び込めば良いだけにしてくれる

 

ある意味なんとも贅沢な遊びなのだ

 

 

しかしそこにはインストラクターなんていないからボンベを1週間分積み込む作業からなにから全部自分達でやらなきゃならない
今ならなんてことない事だが当時の食事ひとつ自分で決められない僕にはそれだけで衝撃的だったのを覚えてる

 

それに加えて
狭いトイレ、船からするオ○ッコ

食事の準備、捕った魚をさばく

携帯の電波もないところで

朝起きて船上に出ると見渡す限り360度海だった時

 
僕は心の底から「帰りたい」そう願ったのを覚えている
なのになぜ今年また来ているのか?
初めての年から3年間は会長に誘われ続けて行った

 

するとどうだろう僕には変化があった
自分がどれだけ「贅沢」な生活をしていて、こんなんで生きていけるのか?と思い知らされた僕は2年目からその生活にハマってしまったのだ

 

確かにここには

 

レクサスもなければ
ウォシュレットもない
レストランも飲み屋もない
可愛いお姉ちゃんもいなければ
生きる為に不必要だと言われるものはなにひとつないのだ
その代わりと言っちゃなんだが
ここには生きる為に命を感じられるものだけはある

 

朝起きて大自然の大海原の真ん中で今日のはじまりの太陽が顔を出す
魚達は食事となり恵みを分けてくれる
時に海は大しけになり人間の無力さを教えられ
日が沈む頃ただ真っ赤な夕日の中酒を飲み今日が終わる
満天の星空は隙間を探す方が難しい
無人島には蛍が無数に光る
風呂は週に一回天然露天風呂

 

 

現代は生きる為に無駄なものが多過ぎる

 

そんな物達が本当に大切な物を見失わせる

 

だから僕はここの生活が好きだ
かと言って僕も現代人
そんな島で一生暮らせるかと言われれば難しい

 

だから、数年に一度こんな生活に参加させてもらって

 

現代の中にある大切な物を少しでも見つけたい
現代に生まれ育った温室育ちの僕らができることなんてそんなものかもしれない

 

基本は船の上で寝泊まりなのだが

 

大雨や嵐が来た1日だけ今年もそんな吐噶喇列島の小さな島に停泊宿泊

 

 

東京都は都知事選挙で一挙一動しているのにここに貼ってあるのは30年以上前の選挙ポスターだ

 

選挙権100人いない島など国政レベルの立候補者は知ったこっちゃないだろう

 

週に1.2回来るフェリーも波で渡航禁止になれば食料すら入ってこない
恐らくこの島にかけれる税金は都知事の無駄遣いよりも少ないのではないだろうか
おかげで何十年も前に時代が止まった様な島だ

 

そうそれはまるで

 

 

「忘れられた島」
の様だ。

 

 

だけれどなぜだか妙に落ち着く

安心する

ここにいたら人を疑う事もしなくてすみそうだ

悩みはもちろんあるだろうが

都会の様に意味のない多くの悩みではない

 

 

この忘れられた島々には僕らが忘れたものが沢山ある

 

 

 

 

てことで今週ずっと電波もありませんので返事も島にたまたま近づいた時にしか返せません。

 

週末には帰る予定

 

 

それまでこの

なにもない豊かさ

を満喫

 

 

さぁ今日も出航

 

 

 

image

 

2016.7長榮潔

コメントする