人生苦なくして楽なし〜長榮潔〜

【 UTMB®︎完結編】やめないよ

 
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2013年人生はじめてのトライアスロン(swim bike run)に挑戦 15歳以来運動とは無縁の堕落した世界を生きて来た僕が 世界三大タイトルの IRONMAN ultramarathon100㎞ DMSサハラマラソン に死ぬまでに1度挑戦して完走してみたいと覚悟した 1㎞走れなかった32歳の僕が途方もない挑戦をしながら 人生に社会に経営に家族に生きるということに本気で向き合っている ロクデナシの僕にできるんだ他にできない人なんていない  人生はequalだ 仕事も家族も遊びもバランスが大事

 

2年前サハラ砂漠マラソンに参加した時に地図を手に入れた

 

サハラマラソンに出ると人生が変わると表現する人がよくいる

あの時の僕も

ダラしなくて弱虫で怖がりで優しくなくて

そんな自分を少しでも何か変えたかったのかもしれない

 

だけど7日間のサハラマラソンが完結しても

日本の東京でいつもの生活に戻ればそこにはなにも変わらない自分がいた

 

サハラマラソンに出たってIRONMANに出たって UTMBに出たって

それだけじゃなにも変わらない

 

その中で手に入れた何かを自分で生かさなきゃ

 

 

僕はサハラマラソンの中で UTMBという100mileウルトラトレイルを教えてもらってその魅力に一瞬で取り憑かれ

その場所に行く地図を必死に探した

 

その地図はもらえる物であったかもしれない

だけどその地図を活かすことは自分にしかできなかった

 

マイラーと呼ばれる称号

100mileのゴールを何が何でも欲しかった。

 

 

その中で仲間に

「モンブランより高い山が埼玉にある」

と誘われて出場した彩の国トレニックワールド100mile

トレラン始めて40㎞までしか出たことのない僕は去年の5月当然ながらあっさり敗退

そこから1年必至に必死にその大会のために練習をしてきて完璧だと思ったのにまさかの2度目の敗退110㎞で力尽きた今年の5月

 

僕は愕然としていた

何がいけなかったのか何が足りなかったのか何で僕じゃダメなのか

女の子にフラれてもまるで動じない僕はショックをずっと引きずってた

 

1年間費やして来た時間と努力にただ愕然としていた

 

やめてやろうかなもう走ることなんて

そんな投げやりな僕がまた顔を出してきたけど

 

僕は必死に見えないふりをして

 

そこまで続けてきた1年間の練習をまた繰り返した

何が足りないのかわからない練習を繰り返すほどキツイことはなかった

 

 

100mileを走りきるために必要な攻略本フルマラソンと違って本屋に行っても売っていない

だから自分で知識を付けてやるしかなかった

 

僕が考えるそれは

ものすごく単純に大きく考えると

 

・長く走る力

・速く走る力

 

すごく大雑把にわければこの2つを身に付けることだと思うが実はすごく矛盾してる

フルマラソンや長距離の選手が100mの種目と兼用できるはずがないしその逆も然りだ

 

この時点で100mileを走るってそもそも人間の構造的に大変だと思わされた

 

だけどやるしかない

 

長く走る距離は単純にジョギングでもいいから長く走ればいい

毎朝も旅先でも僕は30㎞以上を走ることを増やした

これは時間を要するから一般社会でも生活してる僕らには時間を作ることがそもそも大変だ

だけど時間がないは言い訳で時間は作るもの

 

しかしそれより大変なのは上の練習をしながら速く走るための高強度のトレーニングつまり心肺機能向上のインターバル的な練習を組み込む事だった

 

単純にこれはあまり疲労が蓄積している時にやっても最大限のトレーニング効果を得られない

しかし100mileのためには長距離も走れなきゃいけない

どうしたものかと悩んだが必死にトレーニングスケジュールとにらめっこして1ヶ月のスケジュールを組んだ

 

朝のRUNではただでさえ早起きな僕はさらに15分早く起きて

朝から近所の坂でインターバル走を組み込み

朝の気持ちのいいジョギングは一転して一気に前日から億劫なキツイ朝ランに変わってしまったw

 

それに加えて低酸素トレーニングを週に1回必ず通ってそもそも高所でも走れる様にしながら低酸素運動で効率良く負荷をかけた

 

 

もう嫌だった

 

僕には家庭も仕事もある

どちらかに迷惑をかけたり影響を出したくなかったからトレーニングのためにそこを疎かにするつもりはなかったが

その為には何かを犠牲にしなきゃならなかった

 

すると必然的に楽しいだけのこと(僕にとっては飲みの席かな)を削るしかなかった

それでも以前、酒を三年間辞めた時の様につまらなくなりすぎて自分にもストレスが溜まり過ぎるのは嫌だったから禁酒はしないと決めていた

 

しかし実際にまともに飲んだのはこの3ヶ月で3回だけだった。まぁその3回が激しすぎたのだが(笑)

 

それでもやっぱり1番辛かったのは5月に失った目標の中

もしかしたら自分のやり方は間違っているのかと思いながら

それでも信じて周りの誘惑から目を逸らして練習を続けることだった

 

結局のところ

僕らビジネスアスリート(本職を持ちながらアスリート)はそこに尽きる気がする

やると決めた事をやれるか

それは

朝起きる事であり

日常の通勤や仕事であり

練習のスケジュールを立てる事であり

休みの日の家族旅行であり

毎朝のトイレ掃除であり

 

日々のそんな事を

くだらないテレビの前で言い訳見つけてサボったり

周りの誘惑に流されて飲むべき時じゃないのに飲んでしまったり

可愛い女の子に誘われてそっちをとってしまったり

 

そういう事に負けないでやると決めた事をやれるかどうかに尽きる気がする

 

そんな事をプロの選手は若い頃から習慣化されていて誘惑に負け難い体質になっていると思う

プロと素人の違いってそもそもそんな底辺の人としての強さの違いが大きい気がする(だから稀にプロで成功した後にその誘惑にどっぷり流される愚かな人間もいるがw)

 

ぼくはこの3ヶ月ひたすらそれと戦った

 

そしていつもは自分にもストレスが溜まりすぎない様にトレーニングや仕事も含めて

やると決めたことの70%できれば上出来だと自分ルールを決めている

 

しかし今回初めて3ヶ月のトレーニングをほぼ100%できたのだ

スケジュールの立て方が慣れて来たと言うのも少しはあるかもしれないが今までも含めてやると決めた事を100%やれることなんてそうそうなかった

 

そしてそのご褒美はしっかり用意されていた

 

世界最高峰のウルトラトレイル UTMB®︎でモンブランの山々を105mile(171㎞)走り続けるレースで

 

見事に楽々と走り切ってしまった

 

何が嬉しいって自分のやって来た練習が間違ってなかったんだと自分を信じてやれたことが嬉しかった。

 

敢えて「楽々」とおごるような言葉を使わせてもらったが、体力走力以外のミスを除いては本当に初めてとは思えないほど170㎞楽しく楽に走れてしまったのだ

その証拠に1番走れたのは最後の40㎞だった

 

マラソンやトライアスロンを取り組んでいる人なら誰でも経験したことがないだろうか?

「何度出ても何度やっても結局キツイ」

僕もそんな経験をもちろん毎回している

結局ゴール間近はキツくてキツくて

 

もう早くゴール来てっ!!

 

と思うのだが今回だけは最後の20㎞近くまるでキツさはなく

ただ楽しく気持ちよく走れたのだ

 

それはただ念願のモンブランを完走できるから嬉しくてという精神的な部分ではない

なぜならそれが理由なら周りの選手もみんな同じであるにも関わらず、周囲はとても走れてなどいなかったから

 

 

なんかレースの話に入らず長くなってしまったのだがなんせ UTMB®︎に行きたいとか100mileに挑戦したいけど何をしたらいいのかわからないと思ってる人の『地図』に少しでもなれればいいと思っているのでレースまでの話で終わってしまったw

 

だけれど僕は前から言ってるように

やっぱり本番より練習のが好きで本番はメインディッシュじゃなくてデザートに過ぎないんだ

 

ゴングがなった時点でそこまでに取り組んで来た練習や努力で結果は既に決まっていると言ったボクシングのモハメドアリの言葉が全てだと思う

 

しかし何にも書かないわけにはいかないので今回の大きなミスについて書こう(笑)

 

UTMB®︎のコース171㎞は

大きく分けると

フランス🇫🇷Chamonixを出発

イタリア🇮🇹Courmayeurエイドまで78㎞

スイス🇨🇭Champexエイドまで123㎞

モンブランの周囲をぐるっと回って最後フランスChamonixまで戻ってきて171㎞の全長

 

僕の作戦はこうだった

前回の彩の国の足りなかったものがなにかわからなかったが探し続けた結果足りなかったものはなかった

しかしレースでペースを間違えた(あのレースはそのペースじゃなきゃ完走できないのもあったのだが)

その反省を活かして

今回は

イタリア78㎞まではとにかく抑える心拍はアベレージ150以内に抑えて300位くらいになる

スイス123㎞までは160まで上げて200位台になる

残り50㎞解放!行ける限り行け!!

50人くらいは前の人でもリタイヤするから残り50人と根性比べで勝つ

それが100位以内に入る作戦。だった。

 

ちなみに彩の国の110㎞までの平均心拍はHR170だった

僕のAT値(有酸素運動から無酸素運動に変わる値)は173なのでどう考えても無理があったことに後から気づいたが

あの時の僕はレース序盤で先頭を走れてるテンションにそんな事を考える余裕もなかった

 

しかし今回は大人

感情をグッと抑えて

イタリア78㎞地点で平均心拍は140台で360位くらい

HR140で走る事がこんなにも楽なのかと言うくらい疲れはない

ほぼ作戦通りだ

 

しかしおかしいことがある

左足のアキレス腱が恐ろしく痛い

なぜ?わからいない。

僕がケガ?

そんなはずはない

なぜなら姿勢を1番気をつけてる

プロの過度の追い込み以外の素人のケガの大半の原因な

 

体重と姿勢だ

 

今回も今日まで少なくともアキレス腱を痛める予兆はなかった

じゃあなぜ?

 

わからないので出発するがアキレス腱が痛くてキシキシなって坂を登れない

 

そんなバカな…

 

頼むよ!と自分の足に何度も願う

 

冷静に原因を模索する

 

 

あーー!?

 

今回レース前に1つミスをしていた

 

僕はレースシューズを買うときに突然壊れてしまうことを心配して色違いで二足買う

そしてまんまと今回レース前に裏が剥がれたため

色違いのおニューを持ってきたのだ

 

正直少し不安だった

履き慣れてない新品だけど大丈夫かな?

少しだけ朝のランニングで使っておこうかな?

 

 

 

まっいっか♡

 

 

僕の「まぁいいか病」が出た瞬間

 

 

念のため古いシューズも手直ししてエイドの途中で取れるドロップバッグに入れておこうかな?

 

 

 

まっいっか♡

 

 

さらに念のため履いてきたワラーチをドロップバッグに入れておこうかな?

 

 

 

まっいっか♡

 

 

こうして何度かの自問はあったにも関わらず僕は手を抜いた。

 

これが上で

「トレーニングをほぼ100%出来た」

と書いたほぼになった足りなかった部分だ

 

そしてそれが命取りになった

 

新品シューズがカカトに突き刺さってアキレス腱が大ダメージを食らってる

 

皮が剥けるくらいならシカトするのだがちょうどアキレス腱に突き刺さって痛すぎる

 

とても走れない

 

リタイヤも考えたが

みんなが見てる

せめてエイドのカメラではアイーンをして元気なフリをして心配させないようにしなきゃ

 

とにかく次のスイス123㎞まで50㎞進むしかない

 

 

でも

 

 

痛い(T . T)

 

 

カカトにテーピングやティッシュをクッションにしてみる

靴のカカトを踏んでスリッパにして走る

靴を脱いで裸足で走る

 

色々試すが

全てダメで40㎞ほぼ歩く

 

走れないから体温が下がる

体温が下がり過ぎて眠くなる

 

ダメだ悪循環だ。

 

チクショーチクショーチクショー

 

体力は死ぬほど余ってるのに悔しくて涙が出てくる

 

でもこれが現実だ

 

些細なちょっとしたことがキッカケで人生は狂う

そして投げやりになる

そんなことを人の人生は繰り返してる

 

僕には100mileレースを完走する資格がないんだ

 

だけど嘆いてもしょうがない

とにかくスイス123㎞まで歩いてでも行こう

あそこに行けば色々置いてある

なにか脱せる方法があるかも

 

 

時間は大幅に遅れたが

なんとか辿り着いた123㎞地点スイスのエイド

 

 

しかし

 

 

解決策はなかった。

 

 

あと50㎞この脚じゃ無理だ

そもそもあわよくば30時間ぐらいで走るつもりだった僕に40時間以上走る予定は準備されてなかった

丸々2晩は無理だよ

 

諦めが過ぎる

 

 

その時にCCC(101㎞レース)を時間ギリギリで完走した仲間の朗報が入る

 

2ヶ月前に足首を骨折して今日挑戦している彼は僕なんかの100倍凄い

 

それなのに僕は諦める方法と言い訳ばかり探してる

 

そもそも全て自分のダラしのなさが招いた結果じゃないか

 

誰のせいでもない

 

それに周りにはもっと脚が痛い人だっている

 

歩いてでも完走できる時間は最初の貯金で残ってる

 

今はそれだけを考えろ自分

 

もう「諦める事を諦めよう」友の言葉だ

 

 

何ができるか

インソールを捨ててシューズを履くのがまだ1番痛くない

 

これで行く

 

もしかしたらアキレス腱を壊すかも変な音がしてる

 

自分の脚に謝る

 

切れたらゴメン

 

でも願わくばあと3つの山の2つはもってくれ

そしてら切れてもいい

僕のせいだ

そしたら引きずってでも1つの山は超えるよ

 

 

 

なぜだか痛みが消えた。たぶん麻痺してるだけだと思う。

 

思う存分走れてない僕は他の部分は超元気

 

だけどただでさえ夜更かしのできない僕が2晩丸々起きてるのは眠すぎる

 

何度も走りながら寝る

 

馬小屋で10分寝る

 

それでももう辞める理由は頭を過らなかった

 

カメラの前では元気よくアイーン

 

 

僕は大丈夫です元気です

そんな事が伝わればいい

 

 

目標には程遠い

こんなゴールでも

 

仲間が自分のことのように迎えてくれて

 

本当に嬉しかった

 

ありきたりだが「長かった」

38時間走り続けたのも起きてたのも人生で初めてだ

 

 

夜の闇の中

足の痛みと眠さに途方にくれて上を見上げたら

サハラ砂漠と同じ綺麗な星空が広がっていた

 

当たり前だが空って同じだなと感じた

 

違うのはいつもブレる人間の心だけだ

 

 

急いで帰らなきゃ

 

待ってくれてる大切な人がいる

 

走らなきゃ走らなきゃ走らなきゃ

 

僕には守りたいものがある

だからもっと強くならなきゃ

 

 

2年前のサハラ砂漠の時より僕は少しは強くなれたでしょうか?

20年前のチンピラの時より僕は少しは優しくなれたでしょうか?

 

 

僕の小さな夢の1つはこうして仲間に迎えられて叶った

 

 

 

 

 

 

 

1番右から同じみ僕です

2番目サハラで僕にUTMB®︎を教えてくれたゆうかちゃん

3番目CCCを2ヶ月前骨折から完走した西岡さん

4番目ぼくに埼玉の高い山を教えたカニさん

5番目サハラで同じテントだった碓井さん

 

 

全員サハラ砂漠マラソンの同期

 

まさか2年前5人一緒に今度はフランスのモンブランのど真ん中で UTMB®︎に来るとは思わなかった

 

 

最高だありがとう!!

 

 

僕はサハラマラソンで地図を手に入れた

そこには人生で次に挑戦することが書かれていた

それに気づかない人、気づいてもやらない人、気づかないふりをする人

人それぞれだ

 

人それぞれ次の地図を探せばいい

 

きっとそれでいいあってる

 

 

 

さて次の指針はどっちだ?

 

サイラーだ。

 

 

 

 

 

 

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2013年人生はじめてのトライアスロン(swim bike run)に挑戦 15歳以来運動とは無縁の堕落した世界を生きて来た僕が 世界三大タイトルの IRONMAN ultramarathon100㎞ DMSサハラマラソン に死ぬまでに1度挑戦して完走してみたいと覚悟した 1㎞走れなかった32歳の僕が途方もない挑戦をしながら 人生に社会に経営に家族に生きるということに本気で向き合っている ロクデナシの僕にできるんだ他にできない人なんていない  人生はequalだ 仕事も家族も遊びもバランスが大事

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