弱肉強食3日間が過ぎて
東京カレンダーから取材が来た
120万円で巻頭カラーで掲載しませんか?と
つまり広告掲載のただの営業だ。
どこでうちのオープン情報を仕入れたかわからんが飲食雑誌なんてこんなもんだ
これを掲載すると巷の人は東京カレンダーにうちが取り上げられたかのように錯覚する
しかし実情はただ金を払って広告掲載をさせてもらってるだけ
これがインターネットになればもっとわかりにくくなる
広告なのか記事なのか
どうでも良さそうに見えてすごい違いだ
焼肉 弱肉強食
朝の5時に起きる
いつもの様に座禅してヨガして朝RUNをする
午前中にしかできないL.Aとの打ち合わせをする
書類を送るメールを送る
日本語なら数分で終わるこの作業が海外と英語になると能力の低い僕はいちいち調べながらやるので気づくと午前中が終わってる
体重がどんどん減っていくので昼飯まではせめてしっかり食べて会社に行く
ここでいくつかまた事務作業をしてると気づけば営業開始時間
数組しか入れてないプレオープンのはずなのに焼肉屋さんは焼き鳥屋さんに比べて滞在時間が意外と長くて気づけば閉店時間
早めに帰っても家に着くのは24時
朝が1日置きにしか起きれなくなる
なんでも人間にとって1番の睡眠のゴールデンタイムは20〜2時の間にちゃんと寝ていることらしい
昼間の作業だけなら20時に寝れてたけどお店があるとやっぱりそうはいかないよね
この飲食業のこの不規則さをいつか解決したい
連日大反響
たかが飲食未経験の僕でも10年携わってきたので、お客様の顔色と反応を見ればほんとに満足してくれているかお世辞で言っているかぐらいはわかる
それが思いの外、反響良くて自分でもビックリしてる
肉にこだわった
米にこだわった
野菜にもこだわった
調味料にもこだわった
手作りにもこだわった
そのため、化学調味料は置かず、電子レンジも置かず、冷凍庫も手作りアイスと氷のストッカー以外は置かず、
だけれどこれってただのエゴで
そんな事はお客様に伝わらないのではないかと一抹の不安があった
それでもどこまでいつまで嘘偽りのない商売を貫き通せるかが覚悟だった
しかしその心配とは裏腹にお客様が喜んでくれてる
アメリカ産のタンでもバレないけど黒毛和牛のタンを提供する事にこだわってお客様が食べた時のビックリした顔
他の焼肉屋じゃシャトーブリアンとして出してるレベルのヒレ肉をあくまで正直に提供して食いついてくれた時の表情
僕は10代20代と金に目が絡み嘘をつき続けて生きてきた
それは仕事でも大切な人に対しても
自分が傷つくのが怖かったのかなんなのかは自分でも定かじゃないが
そして料理人でもないのに飲食店始めて遂には焼肉屋まではじめて
そして気づいたのはせめて飲食店では嘘をつきたくないということだけ
もっと上手い商売のやり方もある
もっと凄い料理人もいる
もっと儲ける経営者もいる
だけれど僕がやりたかったのは
飲食店を通して嘘をつかないということ
和牛の看板を掲げるなら和牛しか出さない
調味料は体に良い本物を使う
できあいではなく手作りにこだわる
金儲けがしたいなら飲食じゃなくていい
綺麗事だというなら死ぬまで貫き通せば綺麗事ではなくなる
3つの大事なこと
L.Aの出店もあって日本にあとわずかしか入れず、焼肉屋のオープンをどこまでいれるか不安だった僕にはこの焼肉屋を僕がいなくなった後も継続して行くために必要なことはなんなのか1番初めに考えた
そして最初にみんなで集まった時にしたことは『理念』と『ビジョン』について話し合った
この焼肉屋をどういう焼肉屋にしたいのか
そしてこれからはブレないというこだわりを決めた
1.徹底した国産和牛の生肉のみを使用して切り置きは一切しない
2.国産の食材を国内で製造した純国産の6つの自然調味料にこだわる
3.化学調味料・添加物は当然使わない
3.冷凍食品を使用しない食材を冷凍させない(そのため電子レンジを置かない、食材用の冷凍庫を置かない)
4.安すぎず高すぎない適切な値段設定
その結果お客様に伝わるか不安だった料理という商品は想像した以上に伝わったと感触している
そして僕がいなくなった後もこれを継続していくために必要なことは2つだと思ってた
1つはこのお肉を取り続けることができる関係でいること
2つ目はうちの店長が肉を見続けること
この2つさえ継続できればお店は絶対に良くなっていくし伸びていく
そのためには、上の2つがあれば僕なんていらないと間違いなく思ってた
所詮ぼくごときにできることなんてないから
しかしお店を3日間開けて気づいた
僕は好きだから全卓のお客さんの席でオススメのお肉は焼いてあげて焼きながらこのお肉のウンチクやお店のコンセプト、バックグラウンドを話す
焼き鳥屋だったけど焼肉食べに行っても絶対に焼きは他の人に任せられないので焼き奉行鍋奉行派だった僕は実は焼肉焼くのもそこら辺の焼肉屋より得意なのだたまたま
そういうバックグラウンドをお客さんは喜ぶということはL.Aで習った1つのことでもあった
そして3日やってみて何組ものお客さんにこう言われて気づいた
「これながえちゃんがいなくなってもこのクオリティを維持してこういう接客できるの?」
ヤバい
これは僕が勝手に好きでやってたことだから、そんなこと考えてなかった∑(゚Д゚)
この会社にこのお店に
僕より料理が上手い人も仕事ができる人も山ほどいる
僕なんて下の下だ
だけれどたぶん僕以上にこの会社の経緯を知っていてこだわっていて
念いのある人間はいないかもしれない
むしろ経営者や社長が社員に勝てるところなんてそこぐらいしかない
マイッタ
そこができなきゃ
このお店の念いが伝えられなきゃ
ただの美味しい焼肉屋で終わってしまう
あと少し、何ができるかまた一から考え直さなきゃ。