〓IRONMANへの道.〓

人生苦なくして楽なし〜長榮潔〜

山に魅せられて

 

初めての挑戦は

2009年頃の多摩川のハーフマラソン(21㎞)だった。

 

僕は20代後半にして

20歳の時に欲しいと思ったものは全て手に入れていた

左ハンドルの高級車に運転手を付けて

新宿のタワーマンションの高層階に住み

スーツはアルマーニ カバンはエルメス

時計は限定のフランクミュラー

会社では自分で何もやらずただ旗を振って威張り散らすだけ

毎晩、歌舞伎町 六本木 銀座 で朝まで飲み歩くのが仕事だと思ってた

経営者になる前に欲しいと思っていたものをほとんど手に入れたはずなのに

 

 

まるで「幸せ」とは程遠かった

そしてそれが何故かもわからなかったのは若さのせいか権力のせいか

 

そんな全てを手に入れたはずの僕は

初めてのマラソン大会に苦しんでいた

晴天晴れ渡る青空の下に出ることすら珍しく多摩川の土手を走っているとは程遠く足を引きずって歩いていた

 

空はこんなに青いのに僕はなにをやってるんだ

痛い思いして苦しい思いして

目の前の小さな石ころが岩山に感じてまたぐことすらできない…

 

普段後ろから蹴飛ばしてる運転手にはとっくに置いてかれた

 

僕の堕落した生活は人生は

自分の足でたった20㎞ちょっと進めないほど僕という人間をダメにさせていたのか?

 

まだタイムも測ったことのないあの頃果たして何時間かかったのかはわからないがゴールの設営は既に片付けに入っていたところを見ると5時間は超えていたことだろう

 

クズの極みだ

そんな自分に嫌気がさした僕は運転手を解任し自分で運転するところから始めるもまだすぐには走り出さずにいた

 

いつかはフルマラソンを走れるようになりたい

そう思うと同時にこの前みたいに足を引きずりただ苦しいだけの青空に見下されてる結末は嫌だやるからにはきっちり走り切りたい

 

そして毎日走り始めたのはそれから2年ぐらい経ってからだと記憶する

 

フルマラソン

トライアスロン

ウルトラマラソン

サハラ砂漠マラソン

IRONMANレース

 

世の中のあらゆるキツイと呼ばれるレースを探し始めた

 

まるでそれは漫画バギで

世界一の格闘技はなにか?

を問いていたように

 

 

果たして世界一過酷なレースはなんなんだ?と言わんばかりに

 

あれから7年

 

ずいぶん走ったが

 

そのどれもが完走だけは安易にできた

 

完走ができないほどの

 

 

世界最強のレースはなにか?

 

 

その言葉に踊らされるかのように次々と過酷と呼ばれるレースを探した

 

そしてはじめて完走すらできなかったのが

 

彩の国100mileのウルトラトレイルレースだ

 

僕は初めて出くわした完走できないレースに取り憑かれる様に挑み続けた

 

必ず完走してやる

必ずできる

 

世の中にできないことなんて存在しないと証明したいのだろうか

これは自己満なのかエゴなのか

 

そんな事はどうでもいい

 

今は未完走のままでは終われない

 

ただそれだけ

 

 

この一年やれるだけのことはやってきた

 

自信はある

 

 

世界一過酷なレースはなんなのか?

世界一最強のレースはなんなのか?

 

 

きっとまた彩の国の100mileを完走してもまたもっとキツイレースが出てきて僕はそれを目指すだろう

 

それでも僕は進み続ける

 

世界最強のレースはなんなのか?

 

この答えを求めて

 

 

 

10年前1日がかりでも21㎞走れなかった男が

2018年のGW平坦ではない山道を毎日21㎞走っていた

人は変わろうと思えば変われる

そう信じてる

 

そして僕は今「幸せ」だ

 

 

山が好きだ木が好きだ

 

 

 

 

 

※写真はNZのカウリの森。あの日僕は山から呼ばれて取り憑かれて魅せられた

 

 

2018.5.7

コメントする