次の半生
2019年はボクにとって忘れられない年だった
全世界の国境が封鎖され、アメリカにレストランをオープンするという夢のために渡米して準備をしていたのに、急遽帰国
国内の飲食店舗は全店閉店
88人の従業員は解散
妻は最愛の4人の子供を連れて出て行った
15年間積み重ねて来たものたちがわずか3ヶ月で全てなくなった
積み上げるのは容易いが壊れるのは一瞬
まさにこの言葉通りの年だった。
あれからボクは何を糧に何を夢に何を目指しているのかわからない暮らしをただ茫然と繰り返していた
それでも行き詰まらなかったのは、
それでも生かされていたのは、
むしろ幸運と言うよりも、そんな簡単にはこの人生から逃さないと言わんばかりの罰ゲームのようだった。
生きたくても生きれない人間がいるのに
死にたくても生かされる人間がいる
人生とはカクモフシギナモノダとつくづく思う
あれから3年半…
やっと離婚裁判は終わり、最愛の子供達の側で父として生きていくという人生は奪われたけど
ボクはまた懲りずにアメリカロサンゼルスに日本に本当の飲食店を出店するという、性懲りもしない挑戦を始めていた
いったい何のために誰のために?
守るものもなくなったボクはまるで抜け殻のようでありながら投げやりのようでありながらも、どこか一皮剥けた様な吹っ切れた境地にいる。
もしもこれらの出来事がそれらの為に起きた出来事であり、
まだボクに人生のやり残した使命があるのなら
喜んで受けで立ってやる
どうせもう失うものはない
どうせ尽きるのなら、
『自分のためより人の為』
と掲げた理念の通り、残りの半生は自分のためではなく誰かのために生きたいと、業深く生きて来た人生を取り返せるようにと、心の淵からヒシヒシと闘志がみなぎってきた。
まずはアメリカロサンゼルスに本物の日本の飲食店を出す。