もう１つのSPA TRAIL 72㎞
SPATRAIL トイレに落ちる
今回のトレランレースで考えてたことが２つあると書いたのでもう１つの振り返りを書こう
今回、サハラ砂漠で同じテントだった仲間が2人出ていた
1人にはスタート地点で会えたのだがもう1人には会えず
おそらく僕よりほんの少し速いであろうその人に会いたかった
ある程度の自分のレースペースをつくれるかなと思ったので
その事をずっと考えながら僕は走りはじめた
トレニックワールドでも一緒に出て僕らの中で最長の130㎞地点まで言っている雄介さんを探して
僕のが走力がないのはわかっていたのに僕はかなり後ろから出てしまった（後からリザルトで確認したら900人中650番目くらい）
やっちまったと思いながらも前にいるであろう雄介さんを追いかける
なにより12時間近く走り続けなきゃいけないんだずっと1人じゃ孤独死しちまう
だけど会えない
山は孤独だ
山が森が泣いている
人の身体にコンクリート埋めやがってと
僕もふと思ったがかれこれ20㎞近くほぼアスファルトだ
アスファルトの坂を登ったり砂利道を登ったり永遠に登りだ
アスファルトを登るのはそんなに苦手じゃないがトレイル率72%をうたっている大会として砂利道を『林道』と称してトレイル率に含むのはどうかと思う
トレイルは土を含んでほしい
とは言え山の中は気持ちがいい
20㎞近く登り終わった第1エイドになるのだろうか
周囲が歩いているにも関わらず僕は調子に乗って飛ばして650番目からスタートして90番目ぐらいまで来ていた
足もまだ生きている
そんな時事件は起こった
マラソンやトレイルレースに限らずトライアスロンでもよくある仮設トイレ
僕の隣に入っていた人がなにやら騒いでいる
係りの人が来てまた騒いでいる
どうやら
仮設トイレに携帯電話を落としてしまったらしい
係りの人が親切過ぎるにもほどがあるが取ってあげようとしてる
しかしそのランナーは
「下まで落ちちゃった」
と泣きそうになってる
ご臨終だ
みんな20㎞山を登って来て疲れてるが可哀想な同情心より思わずニヤケテしまっている
人間とは怖い…
携帯電話なんて諦めてサッサと行けばいいのにと思ったら
トレイルレースはたいてい携帯電話が必携品になってる
このまま携帯電話を捨てて行けばルール違反で失格だ
つまり彼は
行くも地獄 停まるも地獄だ
ただでさえ辛く苦しいレース
みんな心の中で少なからず一度や二度は辞める理由を探す
携帯電話を仮設トイレの吸い込まれたなんて辞めるのに十分な理由だ
僕は気になって仕方がなかったが
人の心配してるほどの余裕はなかったので結末を確認しないまま
自分は仮設トイレに入るときは携帯電話を置いていこう
と彼の犠牲を糧にして先を急ぐ
彼が勇気ある決断をしたことを願う
そしてかれこれ30㎞地点だろうか
まさかの後ろから聞き覚えのある安心感満載な声が
雄介さんだ！！
なぜ後ろに？
どうやらトイレに寄っていたらしい
まさか…あの事件とは関係ないだろう
そしてこうなったら頼り甲斐あり過ぎる雄介さんにおんぶに抱っこ作戦
と思ったのも束の間
もうすぐ50歳とは見た目だけじゃなく思えない雄介さん
ははは速すぎる
あっという間に女子の一位の選手も抜く
これが2週間前に100mile走って来た人の速さなのか
愕然とするもこれ以上ついて行くと僕が壊れるので
あんなに会いたかった雄介さんの後ろ姿を拝んで分離の50㎞地点
さてここからは苦行だ
僕の身体も脚も完全にオーバーヒート
自分の力量以上のことをやるとこうなる
そしていつの間にか
SPATRAIL 名物700段階段
みんな死んでる割に以外と行ける僕
普段絶対に通勤でもエスカレーターは使わない作戦が役に立ったかもw
滝で記念撮影する元気
この美しさがあるからトレランはやめられない
しかし脚がやられてきて飛び込んでしまいたい
上がりきるとこの看板
アホかっ(-｡-;
名前のセンスが性格悪すぎ
トレイルを駆け抜けて最後のひと踏ん張り
辛くても苦しくても脚が痛くても
「まだまだもっと来い」
と自分に言い聞かす
トイレに携帯電話落とした人とか僕なんかよりもっと辛い人は沢山いる
まだまだだぁっ！！
そして残り10㎞またアスファルト道に出る
アスファルトとかもう勘弁してほしい
トレイル率72%を間に受けて来たから
靴も薄めの固くてガンガントレイル用
走ってるだけで感じるアスファルトに向いてない感
ロードの登りは嫌いじゃないけど
これでトレイル率72%は嘘だ
72㎞中最初の20㎞と最後の10㎞はアスファルトか言っても砂利道
途中もアスファルト多くて細かいの合わせたら10㎞分くらいのアスファルトにはなるだろう
てことは40㎞は確実にロードだ
そうなるとロード率60%以上になる
トレイル率72%どころかロード率60%だ
最初からわかってればいいけど客寄せのためにトレイル率が良い事をうたうのはどうなんだろう…
このレースはあれだな
トレランじゃなくてアップダウンの多いウルトラマラソン的な感じ
あーシンドかった
10時間も切れなかった
雄介さんのことを
自分より少し速いぐらいとか言った自分が恥ずかしくなる
50㎞地点で分かれて
50分も差がついてゴールしてるじゃないか
これが人生を頑張っている人とそうでない人の差だ
またひとつ人生を改めよう
2016.6.27 長栄潔
