〓IRONMANへの道.〓

人生苦なくして楽なし〜長榮潔〜

100mile 補給編(51時間)in Andorra


Andorra Ronda 51時間の後はさすがに脚が浮腫んだ
翌朝には17時間のフライトで帰国しなくてはならない事もあり、日本に着く頃には靴を履くのが億劫なほどに

それでもどこも痛いところもなく筋肉痛もほとんどなく胃の調子も快調であったのは上手くレースメイクできたのではないかと自負する

敢えて言うならその程度の疲労ならもっと出し切れたのではないかと言うところだが、100mileレースはいつどこで何があるかわからなくて、とにかく完走という自分への白星を1つ欲しかった僕は常に怯えていた

事実、周りがなんと言おうが完走という2文字が現実味を帯びて見えたのはゴール15㎞手前だ

もしも自信過剰になりあと少し飛ばしていたら僕など木っ端微塵に潰されて完走すらできていなかったかもしれない


さて今回はレースまでの取り組みとレース前後の補給などについて書き残して置こうと思う

 



【5月の100mileレースの失敗】

 

2019年5月 今年最大の目標でもあった彩の国100mileの失敗の話を先にしなくてはこの章は始まらない

ぼくは3年越しのレースにまたも敗れ失意のドン底にいた僕は僕なりに必死に敗因を模索して改善することを考えていた

 

敗因1オーバワーク

1~3月のレース5ヶ月前1番追い込んでおかなければならない時期に僕は中卒の不足を取り返すために必死に英語の学校に3ヶ月間通っていた。
1月で既に座り過ぎで腰を痛めギックリ腰
毎朝のヨガすらもまともにできない毎日
勉強が忙しくて不摂生もするヒマもなかったがとてもトレーニングをできているとは自信をもって言える状態ではなかった

その3ヶ月を取り返すために僕は冷静じゃない手段に出た

1〜3月にできなかったトレーニングを4月のレース1ヶ月に詰め込んでやる


そしていつもなら100%はやり切らないのに3ヶ月できなかった焦りからか99%やりきってしまったのだ。もちろんこの時点ではやりきった自信に満ち溢れていたレース10日前

しかしレース間近になっても身体の調子は明らかにおかしかったのに僕はそれをまた見て見ないふりをした

 

敗因2 無理な減量

そして追い討ちをかけるように3ヶ月間まともなトレーニングができずに滞っていた体重をこともあろうか追い込んでいる4月で無理矢理減量しようとした

今思えば体重は増えたわけではなく問題のない範囲だった
確かに1〜3月に追い込んでいればもう少し減っていたかもしれない
そこにばかり気を取られてご飯の量をいつもよりも減らしながらレース1ヶ月前に回復よりも減量を意識してさらに追い込んでしまっていた

 

敗因3 補給

そして迎えた5月のメインレース
僕は必要カロリーも補給のカロリー計算も何もせずにただレースを己の身体で走りきる事ばかりに注視した

突然暑くなったことに慣れない5月
まともな水分補給も栄養補給もせずに
おそらく僕はほとんどの補給をエイドの食べ物だけで100mile35時間を2,000Calと水分3ℓくらいだけで走り切ろうとしていたしその時点ではそれが正しいとさえ認識していた

結果

50㎞地点で 脱水 熱中症 エネルギー不足 なんだかわからずいつも練習ですら走れている地点でまさかのタイムに間に合わないことを悟りリタイヤ
こうして僕の3年越しのメインレースは撃沈に終わった

【敗北から2ヶ月】


世界一過酷な100mileレース

しかし潔くないのが僕という人間

トレーニング自体は無理矢理99%できていてしっかり回復して挑めば走力の自信はあった
70㎞でリタイヤしてしまったため積み上げて来たトレーニングをほぼ使う事もなく、むしろ低糖質トレーニングを行っただけのような体調

それならもう一度100mileレースに挑戦しよう!!
こういう時は考えず勢いが大事だ

日本一キツいマイルレースが完走できなかったのなら
世界一キツいマイルレースを完走するしかない

そして見つけたのがAndorra Ultra Trail Ronda dels cims170


2ヶ月間の取組み

かと言って何も改善しないで同じ事を繰り返せばまた返り討ちに合うだけ
もう一度玉砕すれば今度は立ち直れないかもしれない

せめて少しでも賢くなろう

そして僕が取り組んだことは目に見える形で挙げれば

  • 疲労の数値化=training peaksの取り入れ
  • 必要エネルギーの把握=エネルギー計算の勉強
  • 栄養の管理=アスリートフードマイスター取得
  • 高所順応=富士山頂往復練習
  • 模擬練習=甲斐駒ケ岳トレーニング


自分の持てる限りの方に相談させていただいて
栄養補給のパーソナルをしていただいたり
アンドラに近い形状のトレーニングに付き合ってもらったり
かなりの勢いで他力本願に頼った
その際お世話になった方には感謝しても仕切れない

【食事アルコール制限】


2ヶ月間の食事

前回失敗したような無理な減量はやめた
とはいえ先にも書いたようにそもそも体重は規定より痩せている
168㎝ 57㎏ 体脂肪率5%

この状態からさらに2㎏下げる必要があるのか?と自分でも問いたくなるが
人は何かに取り憑かれている時に冷静でいられなくなり正しくなくなる

この状態から増えないことも気にして炭水化物はあまり取らない取っても1日1食
水分は多くても1日にコップ1杯しか取らない(面倒くさいだけ)
それが僕の日常だった

これを大幅に変えた
そもそも水分と炭水化物を欲してなかったのだが
朝と昼は好きなように外なら白米でも食べ、水分は無理のないよう1日1ℓ以上
摂るようにした

結局そのぐらいの量を増やしても体重は増えなかった
しかしエネルギー不足やパワー不足は感じることなく
練習でも10時間の後半でもしっかり前より走れるようになった

以前までなぜか昔のダイエットの名残か糖質を入れること自体が悪だと感じてしまっていたのだが、練習のリカバリーとしてもエネルギー源としてもやはり糖質はかなり必要みたいであり、砂糖などの合成的な果糖こそ避けてはいるがなるべく質の良い糖質は取るようにした

 

アルコール制限

いつもメインのレースの1ヶ月前には僕は禁酒モードに入っていた
そもそも毎晩晩酌をするタイプではないのだが
月に3.4回くらいとことん朝まで飲んでしまうタイプなので
次の日の練習に引き摺ったり影響が出るのが
そもそも精神的にストレスなので本番1ヶ月前には闘争モードに入りたかった

しかしこれも少し変えた
1ヶ月ってけっこうストレスで気持ちがピリピリしてしまう
そんなにお酒を飲みたいわけではないのだが
「飲んではいけない」
という概念がどこかで縛られている自分にストレスになる

そこで今回レースの3週間前からだけ飲まないようにしてみた

これがまた当たった

ちょうど最期の調整に集中できて
身体の中の感覚も良い感じに入れ替わり
だけれどそろそろ飲みたいなと思うくらいの期間だった
あと数日レースを頑張れば飲める!その思いがまたプラスに働いた

 

【レース前後の食事】


レース前の食事

レースの直前はバタバタだった

ドアtoドアで24時間以上かかってもまだアンドラ公国には着かなかった
その間はもちろん機内食や移動でまともな食事には有り付けない
水分だけはしっかり取り続けることを意識した
これも以前の失敗で低ナトリウム症を疑った時に知人の方が
レースの前から水分など心掛けているというアドバイスをいただいたので
夏休みの宿題は31日にやればいいと思っていた僕も今回は7/30から意識した

レースの2日くらい前からは特に糖質を中心に摂りあまり消化の悪そうな物は摂らないようにしながらも、最後の最後は自分の身体の声に忠実に
食べたいと思った物を食べるように心掛けた

レース朝の食事

レースの朝はカロリー計算上800Calくらい摂取して置きたいところ

普段なら焼肉に白米でも食って締めの冷麺でも食せば食べたくなくても800Calなんてすぐなのに、レースの朝早く海外や山の中でそれを摂取しようと思うとそれが中々難しい

そう思うと今までてきとうにしがちであったが
ここで800Cal取っておけばレース中にその分取らなくていいから楽になると置き換えたらなんだか既にレースは始まっていたようで楽しくなった

ホテルの目の前から7時スタートのレースだったから
朝の4時に置きても早過ぎるくらいで朝食を食べるにも十分だった
朝メシは

  • Base Pasta 日本から持ってきた即席カップ麺 (450Cal)
    ※これが優れものでこれ1つで栄養バランス1食分が揃っている
  • 鯖の味噌煮缶詰 (250Cal)
  • バナナ(100Cal)
    合計800Cal

 

今まで散々朝飯は試みたけれどその地で手に入るものとか持って行けるものを考慮した結果これが手軽で無難でしっかり朝から800Cal


この2ヶ月は自分が食べたいと思うものを食べれていたのも良かったみたいだ

【レース中必要カロリー】

これが今回の大きなキモだった

僕は今までアイアンマンから始まりウルトラマラソン・サハラ砂漠マラソンなど12時間以上かかるようなレースを嫌という程出場してきた

しかしそのどのレースでもレース中の必要カロリーなど計算の仕方もわからなかったししてこなかった

もっと言えば食べたい時に食べたい物をてきとうに食べて
運が良ければピッタリハマって運が悪ければ外れる

そんな感じだ

自分でも呆れるがよくここまでそれなりに完走してきたと思う

ちなみにサハラ砂漠マラソンでは邪魔だからほとんど捨ててしまって最終日に残ったのは朝飯含めてカロリーメイト半袋200Calのみで最終日を走ったんだから呆れる

そこで今回はすぐさま知り合いに頼んでパーソナルを受けて
必須カロリーの計算方法から無理のない改善の仕方を勉強させていただいた

アスリートフードマイスターを取得したのもその基礎を学ぶための一環でもあったのだ

そしてその計算式によると
あくまで個人差はあるものの基本の考え方に基づいて
1.05×体重57㎏×レース時間45時間×Mets9=必須カロリー
45時間のレースを走る想定で21,000Cal以上必要だった
そこから朝食や脂肪、肝臓機能なども考慮して差し引いても12,000Calはレース中に補給食から摂取することが必要だった
ジェルで例えたら100個近く
そんなに持てるか食えるかということでそこから他のもので引いていく


レース中補給食

そして出来上がった自分の補給食がコチラ

[携行]
マグオン4本500cal
shotsカフェイン2本250cal
粉飴ボトル500ml 2本3000cal
MUSASHIスポドリ3袋375cal
エネ餅半分75cal
ナッツ200cal
水分5000ml
カツサプ 10袋
飴4個?
[エイド]
蕎麦1杯200cal
蜂蜜5杯100cal
おかゆ4杯500cal
パスタ5杯1200cal
ご飯1杯200cal
豆とコーン1杯125cal
スパークリングウォーター500ml
合計6625cal

実際はこれプラス4,000calくらいは摂る予定だったのだが
2つ目のエイドで預けていた粉飴ボトルが漏れていて捨てたのと
あまりエネルギー不足は感じていなかったのとエイドでそこそこ食事があったためこのぐらいで足りてしまった

12,000calを携帯するのは大変だ
しかし今回はじめてマルトデキストニンたっぷりの粉飴を活用してみたことで
それだけで500mlのボトル1本で1,500calは携帯できるのが楽だった

普段ならジェルも粉飴も科学的過ぎて好きではない
好きではないけれど持ち運びやすくて効率良く摂取するには致し方なかった

長いマイルレースでは仕方のないことなのかもしれない
しかしこれもまたマイルレースは少し離れようと思ってしまった原因の1つかもしれない

健康にもなりたくて始めたランニング
そのために普段の食事も徹底的に気をつけて
気づけば同年代の経営者では群を抜いて健康的な食生活をしている

それなのにことレースでは真逆の不健康な物を摂り入れている
これには少し嫌気がさしてしまった


レース終盤

基本的な補給のベースは今回初の試みだった粉飴ボトルに頼り
それ以外でなるべく咀嚼するものを取り入れ
単糖類と多糖類をバランスよく摂り入れ
極端なエネルギーの枯渇を防いだ

UTMBの時もそうであったが
スパークリングウォーターがエイドにあるのと
わけのわからんパスタが出るのだが
大して美味しくはない物のこれが僕には合っているようだ
ヨーロッパのエイドは相性が良いのかもしれない


ジュルはあまり摂ると効きも悪くなり保ちも悪いので
結局最後の2エイド(残り20㎞ぐらい)までは使わなかった

最後の20㎞が夜間から明け方になることも想像できていたので
そこでジェルとカフェインを摂取して凌ぐ作戦もまた上手くハマった
残り20㎞前後6時間くらいはほぼジェル6つだけでつないだ

マグオンとshotsカフェインを持参したのだが
やはりマグオンはズバ抜けて美味い


 

 

 

まとめ

これが今回の100mile Ultra Trail レースに向けて取り組んだこと

今回は客観的に感情論ではなく記してみました

最後に感情論を言わせて貰えば

やっぱり100mileのトレイルレースは過酷すぎる

レースはもちろん そこまでの準備 用意する物 メンタル
これらを持ち合わせながら仕事でも最大限の出力を出して行くのは果たして可能なのかと疑問を持ってしまった
疑問を持ってしまったら少し休もうと思う

特に僕は吹けば飛んでしまうような零細企業の社長であり
今はまだもう少しだけ会社でも使命があるようだ


それでも人生をかけるだけの価値と輝きがあるのがマイルレースだと思う

またいつかもう少しだけ人間として成長できたら再挑戦したい世界だ

ありがとうございました。

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