Chamonixに魅せられて

UTMB が終わる
フランス(スイスじゃありません)の限りなくスイス🇨🇭とイタリア🇮🇹に近いモンブランの麓の街シャモニー
ここで年に一度
世界中の山に取り憑かれたトレイルランナー達の祭典が1週間ほどある
UTMB(Ultra-trail du Mont-Blanc)
モンブランを取り巻く170㎞近くの山々を制限時間約46時間で駆け抜ける過酷なレースだ
他にもその期間にレースは数種類あって
僕が出たのはその中の
CCC (101㎞累積標高6000m)
なにがCCC なのかわからずにとにかくシャモニーに行ってみたくてエントリーしたレースだったが来てみて知ったのは
イタリア🇮🇹Courmayourをスタートしてスイス🇨🇭Chanpexを経由してフランス🇫🇷Chamonixに走って帰ってくるレースなのでこの街の頭文字をとってCCC だと思う
UTMB で行われるレースに出るためには残念ながらクレジットカードとインターネットがあればエントリーできるわけじゃない
ITRAという世界共通のトレイル団体のポイントを決められた数取得して初めて1月にエントリーができるがさらにそこから抽選なのだ
UTMB で3レース以内で15ポイント
CCC で2レース以内で8ポイント
が必要になってくる
他にももっと距離も短くてポイントも少なくて出れるレースもあります
このポイントは大雑把に僕が1年間模索した経験によると
トレランレースで
100mile(160㎞オーバー)のレースで6ポイント
100㎞のレースで5ポイント
100㎞以内のレースで4ポイント
が完走するとGETできる
これはITRAに大会主催者が申請していることが必須なので気をつけた方がいいが、有名な国内外のレースは大半が申請している
なぜなら世界中のトレイルランナーはこのITRAのポイントをGETして
聖地Chamonixに行くのがひとつの目標でもあるからだ
ちなみに上記では距離だけでポイントの例を示したがトレランは累積標高(レースで登った標高の合計Dで表示)も与えられるポイントの材料になるので一概に100㎞=5ポイントではないから気をつけた方が良い
つまり
100㎞のレースD(累積標高)6000mではほぼ5ポイントもらえると考えてよい
しかし
100㎞のレースD(累積標高)3000mでは4ポイントしかもらえない
この4ポイントと5ポイントが絶妙に重要で
UTMB 100mileに出場するためには3レースで15ポイント必要なのだ
つまり方法は限られる
5ポイントのレースを3レースで合計15ポイント取得するのがオーソドックスだ
なぜなら100mile以上の6ポイントレースなど国内でも数本しかなくそもそもUTMB で100mile走るために100mileレースに出てポイントを取るというのもあまり現実的ではない
そうなるとやはり5ポイントの100㎞レース3本をGETするのが基本になってくる
しかしこれがまたやっかいであくまでそれぞれ個別のトレランレースがITRAにレース後に申請するため結構いい加減な試算もある
同じ100㎞でも標高やその他の要素も含めてポイント数が決定するため
比較的楽な100㎞レースと過酷な100㎞レースが発生してくる
そのためあくまでもUTMB にいち早くなるべく簡単に出たいのなら
なるべくエントリーも完走も楽なレースを探すことだ
しかし当たり前だが
楽なレースでポイントを積み上げてくればその分UTMB に来た時には苦労するだろう
なんせ世界中の猛者は世界の過酷なレースでポイントをGETしてきているのだ
ちなみにこのポイントは取得後2年間有効なので
例えば2016年に出場して取得したポイントは2017年と2018年のレースのエントリーに使える
つまり1年の間に100㎞超えの5ポイントレースを3本完走して15ポイントGETすればそれだけで2年間エントリーができるのだ
しかしそれはエントリー権を得るだけなのでそこから抽選である
しかしUTMB の優しいところは3回目の抽選ではほぼ必ず選ばれるようになっている
だから本当に出たい人は頑張って計算して3年分のエントリー権をGETすれば必ずChamonixに行けるのだ
余談だが僕は2016年に完走したサハラマラソンで運良く100㎞以上の6ポイントをGETしてしまったのでその年はポイントの見直しが重なりそれだけでCCC にエントリーできてしまいさらに抽選に1回目で当選してしまった
なぜ運良くなのかと言うと
そもそもサハラマラソンは260㎞以上走るから6ポイントなのだろうが1日ではなく6日間かけてなので
それはそれの過酷さもあるが歩いてでも完走はできてしまうのだ
これが公平な選挙なら僕は落選だw
UTMB に出場する方法はだいたいこんな感じです
ただしこれはかなり僕が今年1年間で経験した主観も入っているので正式なものとは異なりますのであとは自分で調べてください
ちなみに僕は
去年のサハラマラソンの6ポイントと
その他で4ポイントと5ポイントを既にGETしていたので
そのポイントで2018年のUTMB へのエントリー権はGET
さらに2017年内だけで5ポイントレースを今回のCCC 含めて2本完走したのであと1本完走すれば
2019年のUTMB へのエントリー権もGETできるのでかなり出場できる確率が増えて来るのだ
僕は今回のCCC でのレース備忘録よりもUTMB への出場の仕方を記したのはなによりもまずこのややこしいシステムを把握するのが今年の初めにとっても苦労したからだ
UTMB のサイトはもちろん全て英語
ITRAも然り
それに加えて複雑なポイント制度
もはや意味がわからなかった
さらに上記でも書いたように高ポイントを取得しやすいレースなどはそのレース自体のエントリー権にも人が殺到するので
もはや
ポイントを取るためのレースへの出場にも必死にならなきゃならない
僕もフランス在中の友達にしつこいくらい質問をして必死に色んなサイトでも調べてやっと理解できたので
僕に教えてくれた誰かがいるように僕も経験した1人として誰かに教えられれば幸いであり
その内容を少しでもわかりやすく把握して是非世界最高峰のこのChamonixモンブランに来る足掛かりになってくれれば良いと思います
本当はいつもの様に
軽い気持ちで挑んで
辛くて苦しんでなんとか乗り越えて泥塗れになってでも這いつくばって
やり遂げたぜ!!
僕にできたんだから君にも出来る!!
みたいな熱々のレース中継をお届けしたかったのだが
今回はあえてfacebookでリアルタイムになるべくカッコ悪いありのままの気持ちを投稿して
泥だらけの足元の中
雨にみぞれが混じり
夜が更けた時に
ライトが何故か壊れて足元を照らさなくなり
心の中で「終わった」と嘆いた
そして着いた次のエイドは馬小屋だった時に僕の精神は崩壊して
必死にリタイヤする理由を頭が探し始めた
こんなに来たかったレースなはずなのに僕はただ苦しんでるだけだった
そして必死に本音を綴ろうと思って出た言葉は
「もう無理かもしれない」
「部屋でSEXしてワインが飲みたい」
だった
人間窮地になれば綺麗事など出ない
少なくてもあの時の僕には
苦労して掴み取った感動的なゴールなど1ミリも魅力的ではなかったし欲しくもなかった
ただ「楽」が欲しいだけだった
だけどそんな僕の愚痴以外何者でもない僕の1番嫌いな自分に対してのみんなの言葉は
励ましだった
それを見た瞬間
辞めようとした自分が恥ずかしくなり
嘆いた自分がとても情けなく見えた
心の中で
「弱い自分強がる自分弱い自分強がる自分強がる自分弱い自分強がる自分弱い自分強がる自分強がる自分強がる自分強がる自分強がる自分」
と念仏の様に唱えて
負の山を乗り越えた時
ほんの少しだけ強くなった自分がいた
それが全てでレース備忘録を書くことがなくなってしまったのもある
レース後のなるべく早くよりも
レース中ほど新鮮な状態はない
それにレース後にすぐに生物であるブログをかかなったかったのは
友達がまだUTMB を走っていた事もあったり
励ましてくれた仲間が日本でトライアスロンレースに挑戦していることもあり
それを見届けてから書こうと思っていた
そしたら友達がUTMB 100mileから帰って来て
あんなに辛かった自分の事がとてもちっぽけに見えて
やっぱりここに来たからにはUTMB 100mileに出たい!!
そう強く思わされてしまった
UTMB のゴールの瞬間この街は最高潮に達する
それぞれの人がそれぞれのなにかを抱えて走っている
笑いたきゃ笑えばいい
ベットでSEXしてネオンの中シャンパンでも飲んでる方が楽で楽しいに決まってる
そこから見た景色は苦しい思いして山の中を走ってる奴がとても滑稽に思えるだろう
だけど山の中から見た景色が本当の自分だ
自問自答して自分自身の弱さに目を逸らさず向き合う
苦なくして得た楽はとても安っぽい
だけど苦を乗り越えて得た楽はお金じゃ買えない価値がある
目に見える高価なものより
目に見えない価値あるものを
探す事が人生の本当の目的な気がしてならない
沢山の誘惑にも惑わされ翻弄されながらそんなものを沢山集めていきたい
UTMB に出場できてChamonixに魅せられて
世界中にはこんな最高で
また戻ってきたいと心から感じるところがあるとは思わなかった
今回、僕が完走できたのは応援してくれたみんなのおかげです
それがなかったら未だにあの馬小屋で楽に降りる方法ばかりを探してた
本当にありがとうございます。
さぁ次は君の番だ!!
2017.9.4 長栄潔